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My Diary

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Skying 5 前半

S k y i n g 5
注意! 最終回とはいえ、かなり悲観的ですので、
読み前に少し注意を払ってください。


俺はあの後、家に帰った。
また冷たい感情が戻ってきた。
なんなんだこれは・・・。
気付いたことに、また小雨が降ってきた。
降り止まぬ雨。
悲しみの雨。
空は黒雲の1色に染まっていた。
地鳴りがする・・・。
地震か?と、後ろの建物を見てやる。
すると、そこに建っていたのは家ではなく、
人だった。
「親父・・・!」
急に怒りが込み上げてきた。
「どうしたんだ、銀二・・・」
と言っている間に俺は親父の腹に1発拳をいれてやった。
倒れる、親父。
「銀二!何をするんだ!?」
「うるさいっ!くたばれっ!!」
仰向けの親父に、さらに追いうちをかける。
横腹を2,3発蹴っていると、ベルトから銀色に光るものが見えた。
俺はそれをとっさに盗った。
「やめろ!それは・・・」
血痕のついたサバイバルナイフ。
恐らく、母さんを殺したのはこいつなんだろう。
俺は確信した。
「やはりな・・・」
「違う!違うんだ!」
親父・・・いや、こいつは何を言ってるんだ。
「何が違うんだ・・・何が違うんだ言ってみろ!」
こいつの顔を蹴る。
こいつの頭を蹴る。
こいつの腹を殴る。
こいつの首を押さえる。
母さんを殺った・・・。
それがなにより許せなかった。
俺は殴れずにいられなかった。
「母さんは・・・母さんはなんで、どうして・・・」
「何の罪もなかったはずだ!なのに!!」
こいつは、何がしたいんだ。
殺して何がしたかったんだ、それがわからない!
「なんでなんだ!!!」
その時、強い稲光が目に映った・・・。

















一瞬の・・・わずか1秒だった。
俺は隙をつくってしまった・・・。
腕から少量の血が流れている・・・。
こいつの手には小さいナイフが握られていた。
今までにない痛烈な痛みが感じられた。
「う・・・あ」
かすったとはいえ、こいつが刃物を持っているとは気づかなかった。
激しい雨に打たれ、
強風に飛ばされそうになっても、
俺は負けない。
こいつは死にそうな顔でいう。
「俺は・・・俺は自分の仕事をまっとうしてればいいと思っていた。
だが、実際にはそうはいかなかった。
お前も知っているだろう。
俺が無口なことを。
そうやって同僚とのコミュニケーションのとり方がよく分からなかった。
お前も学校ではそんな感じにさせられていたのだろう。
無口だからすぐにいじめられる。
会社でも学校でも昔の人間の性格、特徴は変わらないんだ。
それで・・・だから少しでも嫌味の言うやつは・・・気が立ってならなかったんだ。
それで・・・身内を殺した」
そんな事ばかり考えていたのか。
だめだ。
俺はこんな親に育てられたのか。
くやしい。
もっと幸せなところで生まれたかった。
むなしい。
そんな事は誰にも決められない。
かなしい。
俺にもそんな無口な遺伝がうつっている。
さらにいっそう怒りが込み上げる。
それに答えるように雷雨ははかりしれないほど強くなっている。
また光った。
また鳴った。
俺はもうろうとする意識の中、最後の力を振り絞った・・・。






















親と子は良く似ている・・・。
そんな事を言われた。
今では亡き母だが、こんな俺を良く育ててくれたと思う。
本当はこんなことしたくなかったけど、
生き延びるために仕方がなかった。
俺は実の父親を蹴り、ナイフを奪い取って、川に落とした。
でも、浅い川だったから・・・。
命は助かっているだろう・・・。
俺は、この最悪な天候の地平に・・・。
俺は目の前が白くなっていった・・・。
刹那(せつな)、激しい雷を受けた気がした・・・。
これで・・・いいんだ。
人はそうやって簡単に死ぬ。
・・・復讐もできた。
悔いは・・・あるけど・・・
これ以上に生き延びる必要は・・・ないだろう。
さよなら・・・俺。
俺は・・・俺は青山銀二としての・・・
名に恥じぬ人生を送っただろう。
もう少し・・・この空を眺めていたかった。
でも・・・もう・・・・・・それも・・・無理・・・か・・・・・























―続く―

あとがき

いつも見ていてくれている人!ありがとうございます!
そして遅れました!すいません!
後半の部を楽しみにしていてください!
ではっ!










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